野山に花の咲く如く




































 御阿礼の子は、書くために生まれた。


























 だから、書き終われば死んでいく。
 書き終わるまでの短い日々さえあればそれでよい。


 ただそれだけのことだ。

































































でも。















































号外! 号外だよ!





































































 文字が躍る、

 跳ねる、
 笑う、
 喜ぶ
 書かれた字面がまるで生きているように紙面でその体を活かす

 活字、そして字体、という言葉を表すように































































































「妖怪ってすごいようっ!」


























































































「御阿礼の子をさらったな、妖怪!」



 ――違う! それは、違う!




































「一緒に寝ていたそうですね」





 ……それは。







































――人間は弱い。





「……都合の良いときにはペットだと言って甘やかして、
 事情が変われば部外者だと言って、私を置いていく」















































「さあ、お嬢ちゃん」







































――悪いことを、しようか。
















































































2009年10月11日 東方紅楼夢(第六回)

P04b「ぽたぽた焼」にて頒布予定

中編集「メモランダム」収録、書き下ろし作品。

A5二段組、小説本、228ページ、800円

イラスト:妹尾在処(在りや


表紙絵(770KB)


本文



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